女性に多い“隠れ貧血”の症状と改善法 :栄養とヨガで体質を変える
朝がつらい、手足が冷える、立ちくらみが増えた、階段で息切れする、アザができやすい、イライラや集中力低下が続く――こうした日常の不調は、体質ではなく「鉄不足」による隠れ貧血(貯蔵鉄=フェリチンの不足)のサインである場合があります。通常の健康診断ではヘモグロビンのみを測定することが多く、貯蔵鉄(フェリチン)を調べないと見逃されやすい点が問題です。
血液のうち酸素を運ぶのは赤血球に含まれるヘモグロビンです。ヘモグロビンの材料である鉄が不足すると、まず体内に蓄えた貯蔵鉄(フェリチン)が減っていき、やがてヘモグロビン自体も作れなくなります。フェリチン低下の段階は「隠れ貧血」と呼ばれ、ヘモグロビンが基準値内でも不調が続くことがあります。
以下の項目が複数当てはまる場合は、鉄不足の可能性があります。
- 手足の冷え、顔色不良、皮膚や髪のパサつき、若白髪
- 立ちくらみ、めまい、頭痛、動悸、息切れ、疲労感
- アザができやすい、爪が割れやすい・反り返る
- 睡眠の質低下、むずむず脚症候群、集中力の低下
- 氷を大量に食べたくなる(氷食症)などの異食傾向
月経や妊娠・授乳による需要増、加工食品・清涼飲料水・スナック菓子などに含まれる添加物(例:リン酸塩)による吸収阻害、インスタント食品の多用、鉄器具を使わない調理習慣などが重なり、男女問わず鉄不足に傾きやすい環境になっています。
最初の一歩は、定期健診に加えてフェリチン(貯蔵鉄)を確認することです。数値が低い場合、食事・生活習慣の見直しで改善をめざします。
鉄には、動物性食品に多いヘム鉄(吸収率の目安15〜25%)と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄(目安2〜5%)があります。非ヘム鉄は吸収率が低いため、食べ合わせや調理で底上げする発想が重要です。
ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を高めます(例:小松菜+柑橘、レンズ豆+パプリカ)。葉酸は正常な赤血球形成に必須、ビタミンB12は赤血球産生を支え、銅はヘモグロビン生成に関与します。タンパク質(肉・魚・卵・乳)を組み合わせると吸収効率が上がります。
調理では、ビタミンCの損失を抑える蒸す、吸収を助ける酸(レモン、酢、梅)を加える、煮汁も活用するなどの工夫が効果的です。
- タンニン(コーヒー・紅茶・緑茶・ワイン・柿):食中〜食後1時間は控える。深煎り・少量で。
- フィチン酸(玄米・全粒粉の外皮):発芽・浸水・三分づきなどで影響を軽減。
- 不溶性食物繊維(おから・豆・穀物外皮・海藻):鉄摂取の食事とは時間をずらす。水溶性も意識。
- シュウ酸(ほうれん草・さつまいも・アーモンド・抹茶など):下茹で・蒸し、酸やビタミンCと合わせて影響を緩和。
・小松菜とツナのレモン蒸し/レバーの梅煮/あさりとトマトのスープ/鮭とじゃがいものヨーグルトソース/納豆+刻みパプリカ+レモン少々
・飲み物は食後1時間以降にお茶・コーヒー。食中は水・麦茶・薄いレモン水などに切り替える。
なお、サプリメントは医師や薬剤師に相談し、鉄の過剰摂取にならないようにします。フェリチン値の推移を見ながら食事を基本に整えることが長期的に有効です。
鉄不足でヘモグロビンが不足すると酸素運搬効率が落ち、筋肉で熱が作られにくくなります。さらに筋力不足だと基礎代謝が上がらず、皮膚血流や発汗の反応も鈍くなります。柔軟性だけではなく、適度な筋力・心拍数の上がるフロー・正しいアライメントがそろって初めて「内側から温まる」状態になります。
- 下半身大筋群を使う:スクワット系、ランジ、橋のポーズなどで筋ポンプ作用を高める。
- 呼吸と同期したフロー:太陽礼拝などで心拍数を適度に上げ、発汗を促す。
- 姿勢(アライメント):骨盤・肋骨・肩甲帯の配置を整え、狙った筋に効かせる。
- クールダウンと睡眠:自律神経を整え、回復と造血を支える。
強い貧血時は無理をせず、ふらつきや動悸がある日は軽めのメニューに切り替えます。鉄は不足も過剰も不調の原因となるため、自己判断での大量摂取は避け、フェリチンを含む検査で状態を把握しながら、食事と運動で体質を整えます。
最後に、冷え・疲労・立ちくらみは「慣れるもの」ではありません。気づき→検査→食事→運動の流れを回し、日々の体調変化を指標にしていくことが、長く続く改善への近道です。
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