体の「芯」を整えるコアトレーニング|体幹をやさしく鍛える方法
① なぜ今「体幹」や「コア」が注目されているのか
ここ数年で「体幹トレーニング」や「コアトレーニング」という言葉が一般にも浸透し、多くの人が健康維持や姿勢改善、スポーツパフォーマンスの向上を目的に取り入れています。
その背景には、単に筋肉を大きくするのではなく、「体をどのように支え、どのように動かすか」という身体の使い方への関心が高まったことがあります。
体幹は、姿勢を安定させる基盤であり、四肢(腕や脚)の動きを支える中枢です。その中心を支えるのが「コア」であり、現代では“身体の中心制御”という概念として非常に重視されています。

② 「体幹」と「コア」の関係
「体幹」とは、腕や脚を除いた胴体部分全体を指します。胸部・腹部・背部・骨盤周囲を含み、体を安定させ、姿勢を保持するための土台です。
これに対して「コア」とは、体幹の中でも特に身体の中心を支える深層筋群(インナーユニット)を指します。体幹の“外枠”を支えるのではなく、“内側から”安定させる役割を担う筋肉群です。
つまり、体幹が家の「構造体」だとすれば、コアはその「柱」や「基礎」にあたります。コアの働きが安定していることで、四肢の動きが滑らかになり、日常動作や運動における力の伝達効率が格段に高まります。

以下の表は、体幹とコアの範囲や役割の違いを整理したものです。
| 分類 | 範囲 | 主な構成 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| 体幹 | 胴体全体(胸・背中・腹・骨盤まわり) | 腹直筋、腹斜筋、広背筋、脊柱起立筋など | 姿勢保持、動作の安定、上肢・下肢の連携 |
| コア | 体幹の中心部(腹腔・脊柱まわり) | 腹横筋、横隔膜、骨盤底筋群、多裂筋 | 体幹の安定、力の伝達、呼吸との連動 |
③ コアを構成する主な筋肉
コアは「ひとつの筋肉」ではなく、体幹の内側で多方向に支え合う複数の筋肉から成り立っています。
特に重要とされるのが「インナーユニット」と呼ばれる4つの深層筋群です。これらは常にわずかに働いており、私たちが立つ・歩く・呼吸するといった日常動作のあらゆる基盤を支えています。
- 腹横筋(Transversus Abdominis): お腹をコルセットのように取り囲み、腹圧を保って体幹を安定させます。体をひねる・持ち上げる動作の際に腰部を守る役割も果たします。
- 横隔膜(Diaphragm): 呼吸の中心となる筋肉で、吸気時に下降し、腹腔内圧を変化させます。呼吸と姿勢制御の両方を担う重要な存在です。
- 骨盤底筋群(Pelvic Floor Muscles): 骨盤の底を覆う複数の筋肉群で、内臓を支えながら体の下からコアを安定させます。特に女性の産後ケアや姿勢維持に関わります。
- 多裂筋(Multifidus): 背骨の小さな骨を一つひとつ支える深層筋。脊柱のわずかな動きを制御し、身体のバランスを保ちます。
この4つの筋群が連動することで、身体の中心に安定した“芯”が生まれます。さらに、腹直筋・腹斜筋・脊柱起立筋といった表層筋が加わることで、強さと柔軟性の両立した体幹が完成します。
すなわち、コアとは“動きの要”であり、“姿勢の守り神”ともいえる存在なのです。

④ コアを鍛える目的
コアを鍛える目的は、単なる筋力の増強ではなく、身体全体のバランスと動作効率を高めることにあります。
コアは、四肢の動作エネルギーを身体の中心で制御し、力を伝達・吸収する役割を担っています。コアが安定することで、肩や腰、膝などの関節に余分な負担がかかりにくくなり、ケガの予防にもつながります。
また、日常動作(立つ・歩く・持ち上げるなど)の中でも、体の「軸」を保つ力が高まり、姿勢が崩れにくくなることから、腰痛や肩こりの軽減にも効果があります。
スポーツにおいては、地面を蹴る力や腕を振る力を全身で連動させる際に、コアが“力のハブ(中心)”として働き、瞬発力・安定性・持久性のいずれにも影響します。

⑤ 効果的なトレーニング方法
コアを強化する際、腹筋運動のように一方向の動作を繰り返すだけでは十分ではありません。重要なのは、全身の連動性を意識しながら「安定しつつ動ける体」を作ることです。
左右非対称の姿勢でのトレーニング(例:片脚・片腕の支持姿勢)は、コアの安定を自然に引き出す効果があります。バランスを保つために腹横筋や多裂筋が反射的に働くため、効率よく深層筋を活性化できます。
また、動作中に呼吸を止めず、自然なリズムで息を吐くことが重要です。呼吸と動きが連動することで、腹圧のコントロールが高まり、より機能的なコア強化につながります。
- バードドッグ: 四つん這いで片腕と反対側の脚を伸ばし、体幹を一直線に保つ。バランスと安定性の両方を鍛える。
- デッドバグ: 仰向けで腕と脚を交互に動かす。腰を浮かせずに腹圧を維持する練習に最適。
- プランク: 肘とつま先で体を支え、腹横筋・多裂筋を同時に刺激。基本でありながら非常に効果的。
- サイドプランク: 体の側面を支え、腹斜筋や骨盤周囲の安定性を高める。
- バランスボールレッグカール: ハムストリングスと体幹の連動を促し、動的安定性を養う。
最初は5〜10分間、週3〜5回の短時間でも構いません。重要なのは「正しい姿勢と呼吸を保ったまま継続すること」です。
負荷を上げるよりも、フォームの正確さと内側の意識を重視することで、コアの働きを確実に引き出せます。

⑥ トレーニングの原則
コアトレーニングをより効果的に行うためには、単に「固める」ことを目的にせず、「安定しながらしなやかに動ける体」を意識することが重要です。特に以下の3つの原則を意識することで、体幹の機能性が格段に高まります。
- ① 体幹と四肢の調和: 腕や脚の動きに対して、体幹が過剰にぶれないようにする。安定した中心があることで、四肢の力を最大限に発揮できる。
- ② 体幹をしなやかに動かす能力: 固定するだけでなく、適切に動かすことで効率的な運動連鎖が生まれる。軸を意識しながら柔軟に動くことが鍵。
- ③ 呼吸との連動: 呼吸はコアの動きを支配する重要な要素。息を止めると筋肉の連動が途切れるため、常に呼吸と動作を一致させること。
これらの原則に基づいてトレーニングを行うと、単なる筋力アップではなく、「動作の質」そのものが向上します。
姿勢が自然に整い、重心のコントロール力が高まり、スポーツや日常生活の中での疲労感も軽減されます。コアは“鍛える筋肉”であると同時に、“使いこなす感覚”を磨く領域なのです。

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