
停滞期が始まるタイミングとその目安
一般的に、ダイエット開始から約1か月後に2~3kg、または初期体重の約5%減少すると、体は「飢餓状態」を認識し、エネルギー消費を抑えるために停滞期に入るとされる。この段階では、体重計の数字が数週間にわたってほとんど変動せず、体脂肪率やウエストサイズの減少も見られにくくなります。停滞期は通常2週間から1か月程度続くが、個人差が大きく、生活習慣やホルモンバランス、運動の種類によってもその期間は異なります。
停滞期のメカニズムと4つの主要な原因
体が停滞期に入る理由には、主に次の4つの要因が関与している。
1.ホメオスタシス(恒常性)の働き
体は、環境変化に対して常に内部環境を一定に保とうとします。急激なカロリー不足や運動の変化に対して、体はエネルギー消費を最小限に抑えるよう働きかける。この防御機構により、脂肪燃焼が一時的に低下し、停滞期が生じる。
2.ホルモンバランスの変動
特に女性の場合、月経周期に伴うエストロゲンやプロゲステロンの変動が体重減少に影響すします。エストロゲンは脂肪燃焼を促進する一方、プロゲステロンは水分や塩分の保持作用があり、排卵後から月経前にかけて停滞期が顕著になります。男性においても、急激な体重減少がテストステロンの低下を招くことがあるため、ホルモンバランスの維持は重要です。
3.腸内環境の乱れ
食事内容の偏りにより、腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れると、脂肪代謝を助ける短鎖脂肪酸の生成が減少します。これにより、脂肪の蓄積が促進され、ダイエット効果が停滞する。さらに、腸内環境の悪化は免疫力や全身の健康にも影響を及ぼすため、バランスの良い食事が不可欠です。
4.筋肉量の低下
食事制限だけのダイエットでは、筋肉も同時に減少する傾向があります。筋肉は基礎代謝を高める重要な要素であり、筋肉量が減ると消費カロリーが減少し、脂肪燃焼効率が低下します。加えて、筋肉の減少は体の引き締め効果も失わせ、リバウンドリスクを高めるため、適切な運動と栄養補給が必要となります。
停滞期を乗り越えるための対策

停滞期を早期に抜け出すためには、単に待つだけではなく、いくつかの戦略を実行することが求められる。以下に、具体的な対策を詳細に解説致します。
1. 計画的なチートデイの導入
週に1回、あえてカロリー摂取を緩和する「チートデイ」を設ける方法があります。チートデイでは、通常の制限から一時的に解放されることで、体内の栄養状態が改善され、ホメオスタシスの働きが緩和されるとともに、精神的なリフレッシュ効果も得られる。ただし、チートデイの頻度や内容は慎重に設定し、過度な摂取にならないよう管理する必要があります。
2. 無理のないダイエットと十分な休息
特に女性は、月経周期に合わせて体調やホルモンバランスが変動するため、無理なトレーニングや極端な食事制限を避け、休息をしっかりとることが重要です。十分な睡眠やストレス管理もホルモンバランスの安定に寄与し、結果的に停滞期の打破につながる。近年の研究では、質の高い睡眠が代謝や食欲ホルモンの調整に大きく影響することが明らかになっています。
3. 栄養バランスを見直した食事
偏ったダイエットは、腸内環境の乱れや筋肉量の減少を引き起こす可能性が高い。たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、そして食物繊維をバランスよく摂取することが必須です。特に、筋肉量の維持・増加には良質なたんぱく質が不可欠であり、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などを積極的に取り入れるとともに、野菜や果物、全粒穀物などでビタミン・ミネラルの補給も怠らないようにします。
4. 筋力トレーニングと有酸素運動の併用
停滞期においては、筋肉量の低下が一因となるため、筋力トレーニングによる筋肥大を目指すことが効果的です。特に、大筋群(腹筋、太もも、背筋など)を重点的に鍛えることで、基礎代謝が向上し、脂肪燃焼効率が高まる。また、有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリングなど)と組み合わせることで、全身の血流が促進され、老廃物の排出やホルモンバランスの改善にも寄与します。トレーニング内容は定期的に見直し、刺激を変化させることが長期的な成果を生む。
5. 生活習慣の改善とストレス管理
近年の研究から、ストレスや生活習慣が体重減少に大きな影響を与えることが明らかになっています。過度なストレスは、コルチゾールと呼ばれるホルモンの分泌を増加させ、これが脂肪の蓄積や食欲増加の原因となるため、リラクゼーション法や適度な趣味、マインドフルネスなどを取り入れ、ストレス管理を徹底することが求められる。また、日中のこまめな水分補給も新陳代謝の促進や老廃物の排出に効果的です。
停滞期中に避けるべき行動とその理由

効果的な対策と同時に、以下の行動は停滞期を悪化させる恐れがあるため、極力避けるべきです。
・急激なカロリー摂取の増加
チートデイの活用は有効であるが、計画性のない急激な食事量の増加は、体重のリバウンドや脂肪蓄積のリスクを高めるため、摂取カロリーは常に意識的に管理することが重要です。
・過剰な運動や無理なトレーニング
急激に運動量を増やすと、体に過度なストレスがかかり、ホルモンバランスが乱れる可能性があります。体に負担をかけすぎると、逆に筋肉の回復が妨げられ、基礎代謝の低下を招く恐れがあるため、適度な運動量と休息のバランスを保つことが大切です。
・食事の抜きすぎ
極端な食事制限は、体が飢餓状態に陥り、エネルギー消費を抑制する要因となります。結果的に、停滞期が長引き、リバウンドのリスクも高まるため、規則正しい食事摂取が不可欠です。
ダイエット停滞期におすすめのヨガポーズ

1. アド・ムカ・シュヴァナアーサナ(下向きの犬のポーズ)
効果と狙い
このポーズは、全身の筋肉を伸ばしながら血流を促進し、体内のエネルギー循環を活性化する効果があります。特に肩甲骨周りの筋肉や背中、ハムストリングスをしっかりと伸ばすことで、ストレスの緩和や自律神経のバランスを整え、ダイエット停滞期にありがちな代謝低下をサポートします。
やり方
- 四つん這いになり、手は肩の下、膝は腰の下に配置する。
- 息を吐きながら、お尻を高く持ち上げ、かかとを床に近づけるように意識して、体を「逆V字型」にする。
- 頭は腕の間に落とし、背中と脚の裏側をしっかりと伸ばす。
- この状態を15~30秒キープし、ゆっくりと元の位置に戻す。
- 数セット繰り返すと効果的です。
2. ブージャーンガーサナ(コブラのポーズ)

効果と狙い
コブラのポーズは、胸や腹部を開き、内臓の働きを刺激することで消化機能を改善し、代謝アップに寄与します。また、背中の筋肉を強化し、姿勢を正す効果も期待できるため、ダイエット停滞期に伴う体調不良や疲労感の軽減に効果的です。
やり方
- うつ伏せになり、手のひらを胸の横に置く。
- 息を吸いながら、ゆっくりと上体を持ち上げる。肩や首に過度な負担がかからないように、肘は軽く曲げ、背筋を意識して伸ばす。
- 胸を前に押し出すようにし、腹部の筋肉に軽い刺激を感じるところまで上体を上げる。
- 数呼吸キープした後、ゆっくりと元のうつ伏せの状態に戻る。
- 無理のない範囲で、3~5セット繰り返す。
3. トリコナーサナ(三角のポーズ)

効果と狙い
三角のポーズは、体の側面をしっかりと伸ばし、内臓のマッサージ効果や血液循環の促進に寄与します。特に腰回りや腹部の引き締め効果もあり、停滞期に停まった脂肪燃焼をサポートします。また、全身のバランスを整え、ストレス解消にも効果があります。
やり方
- 足を広く開いて立ち、右足を外側に90度、左足はわずかに内側に向ける。
- 両腕を肩の高さで横に広げ、右手を右足前方、または足先に向けてゆっくりと下ろす。左手は天井方向に伸ばし、体を横から見たときに一直線になるように意識する。
- この状態で数呼吸キープし、体側の伸びを感じる。
- ゆっくりと元の立ち位置に戻り、左右交互に行う。
- 各サイドで1~2分を目安に行うと効果的です。